2016年3月3日木曜日

EVF搭載のデジタル一眼(ミラーレス等)を使用して3年3ヶ月でわかったこと、良かったこと、OVFの方がまだマシなこともある?

EVF機を導入した発端


2012年の末
SONYの「α99」というカメラを購入しました。
本格的なレンズ交換式カメラとしては、初めて「一眼レフ」ではない製品の購入です。


クラシカルでトラディショナルな一眼レフの構造ではなく、TLM(トランスルーセントミラー)というミラーレスともちょっと違う新機軸のスタイル。OVF(光学ビューファインダー)ではなくEVF(電子ビューファインダー)搭載のフルサイズセンサー機ということで飛びつきました。

なぜなら私、おもに写真よりも動画が目当てでデジタル一眼を利用していたからです。

古典的な一眼レフでの動画撮影はその構造上、強制的にファインダーがブラックアウト。背面ディスプレイによるライブビューになってしまうのが不満だったのです。ところがSONYのTLM機であればファインダーを覗きながら動画撮影ができるというわけですね。

その後、現在にいたる3年と3ヶ月ほどの間、ミラーレス機もふくめてEVF搭載のデジタル一眼を6機種に渡り使用してまいりました。メーカーや出版社からの貸出機を含めるともっと多いですね。ある日、写真家宣言というのをしてからは、動画だけでなくスチルの方もきちんと考えるようには心がけ始めまして、そうして使用してきたなかでのEVFへの考えについて、途中経過としてここに書き留めておきたいと思います。

色彩を作り込める


まずこの写真
松島海岸

上図はJPEG撮って出しです。
カメラマンやカメラの使い方にもよるとは思いますが、いわゆるRAW現像などのポスプロ無しでこのような色を出すためには、つまりシャッターを切った時点でこの色の写真が出てくるためには、ライブビューで追い込んでいく作業が不可欠だと思っています。

ライブビューというだけなら一眼レフの背面ディスプレイでも良いのですけど、これはファインダーと違って屋外ではたいへん見えにくい、チルト液晶やバリアングル液晶といった角度がつけられる仕様でない場合は、視野角による色や明度の変化も問題になりますね。

それがEVF(電子ビューファインダー)であればまったく問題にならない。

ことこういった明け方や夕暮れどきについては、明度や色彩の変化に富んでおり、刻一刻と移り変わる光景にスピード感をもって逐一対処する必要があります。もしISOオートで撮影していれば、あっという間にISO 6400からISO 100へと変わってしまうのが夜明けというシーンなのです。この面では、ファインダーを覗きながらの安定した構えでライブビューできるEVF搭載機はたいへん良いです。下図はEVFで色を作り込んで撮影した夜明け(日の出)の風景の変化です。
dawn and sunrise at Matsushima Seashore

カメラメーカー提供の写真家ドキュメンタリー番組などを観てみて気づいたことがあります。

風景写真においては、OVF(光学ビューファインダー)搭載一眼レフであっても、背面ディスプレイでライブビュー撮影をする場合がわりとあるようですね。その理由はいく通りもあるとは思いますが、色味を詰めていく作業でもやはりそうするしかないでしょう。これがEVFを使用する最大のメリットかと思います。

強い光源にカメラを向けても平気


メリットといえば、副次的な要素になりますが、太陽に向けても大丈夫というのは撮影の幅が広がりますね。
sunrise in Matsushima

こういった構図はOVFならやってみようとすら考えませんね。やれば確実に病院行きです。
view from Fukuura island

もともとビデオカメラのEVFに慣れきっていたこともあり、スチルでも同じようにできるというのは嬉しいです。この点は、OVFのカメラにはできないことで、一眼レフだけを持って出かけたときに「しまった」と思うこともしばしばあります。

暗所について


一時期ネットのクチコミなどでは、EVFだと暗所で見づらいという意見がよく見られました。確かにセンサーからの映像信号を表示するEVFですから、暗くなるほどに画質低下=いわゆる暗所ノイズが乗ってくるのは当然です。その面では、単にガラスと鏡を経由しただけのOVFのほうが有利と言わざるをえません。

ところが私これはもう逆転したと思うんですよね。
いつの時代の機種かにもよりますけど、すっかりセンサー自体の高感度化も進み、今ではOVFだとよく見えないであろう暗闇ですらも、EVFなら映し出してくれます。特にそういったことを気にされるような方が購入する高性能機種ほど顕著に現れると思います。

以下は、高感度の方向にセンサー性能を振り切ったSONY「α7S II」と、そうでない「α7R II」との比較になります。背面ディスプレイを撮り比べたものです。
α比較

いかがでしょうか?
高感度性能がより高い「α7S II」のほうが、破綻の少ないライブビュー映像を表示しています。どう見てもこちらの方がピントが合わせやすいです。つまりセンサー性能によるということですね。

もちろん、対する「α7R II」の方でも高感度性能はかなりのものですから、通常使用においてはこちらも全く問題ありません。もはやOVFで暗所を見るよりもずっと良いかと思います。

フォーカスはどうか


フォーカスについては賛否両論あるかと思いますが、EVFの場合には拡大表示やピーキング表示が可能ですね。個人的には、それはまだまだ発展途上であり、一長一短ではないかという気がしています。ただし、OVFの方がピントの山がつかみやすいとはよく言われますけども、それがピーキング表示の利便性を超越するほどなのかというと、やはり情緒的なところに左右されてるんではないかとも考えております。

しかし私このピーキングに関しては不満がありまして、ピントを「面」で可視化してしまうというのがどうも慣れないところですね。光学的にピントが「面」になるのは当たり前ですけども、そんな被写体はありませんから。

私キヤノンの「EOS 7D Mark II」も使用しておりますが、AFエリアなどはほとんど利用しません。木にとまる野鳥の目にビシッと合わせたいので、AFフレームを1点のみにしてレバーで移動させながら撮影しています。

そういう理由もあって、ピーキングで「面」を表示されるのは大きな違和感をおぼえます。「君の瞳に乾杯」という文句がありますが「君の瞳と同距離にある花瓶や壁やテーブルの角やその他の雑多なものすべてに乾杯」とは言いませんよね。
7D MarkII Forcus

その他フォーカスにおける機能や操作、また速度の面では、EVFかどうかというよりも、AFの方式、カメラやレンズの性能そのものによるところや、ミラーレスならではのボディ小型化という特徴に由来する扱いにくさがあると思います。ただしそれはEVFそのもののデメリットではないですよね。前出「α99」のような大きめのボディでは、一般的な一眼レフカメラと同等の操作性が確保されていて使いやすいです。

あと気になるとしたらEVFの解像度でしょうかね。すこし昔のブリッジカメラなど、あまりにドット数が少ないとピント合わせどころか覗く気にもならないですよね。表示色数もしかり。今後も大きく改善されていくであろう部分ではありますが、現時点で既に236万ドット(SONY α7Rなど)と実用に無理のない解像度になってきています。

表示の遅延と動体撮影


EVFに関する否定的な意見で必ず出るのが表示の遅延です。
電子的なあれこれを通して実際の光景より遅れて表示されるから「動きもの」が撮りにくい、動体撮影に向かないという意見は多いですよね。

まあ当たり前ですが動画を撮影するぶんには十分です。なにしろビデオカメラと同じような仕組みですから。

動画の撮影時、実際に目のまえに繰り広げられている光景とのあいだに、目に見えて時差があったら大変です。昭和のテレビカメラですら野球の試合でボールを追っかけていたわけですからね。ただしそれには映像ならではの「やりやすさ」や「ごまかし」も含まれているので、スチル撮影でもそのまま適用できるわけではありません。それでも本当に気になるほどの遅延があるなら、それはまったく使い物にならないと思うのですが...

動体撮影とはいってもその画角やスピードは様々ありますから一概にはなんとも言えないのですけど、いや実によくやってると思いますよ。
桟橋に大波1

あまりにも遅延があるようなら、イルカのジャンプが放物線の頂点に達しているようなごく短時間は狙えませんよね。
京都水族館 イルカショー

もちろんこれも、先述のフォーカスに関する性能なども含めて、機種ごとの仕様によるんでしょうけどね。EVFの表示速度というよりは、現行のミラーレスと一眼レフにある溝みたいなところが大きくなってくるんではないかな。EVFだけを挙げて、それが動体撮影に向かないという断言は難しいように思います。

連写に際しては「OM-D E-M5 Mark II」のような、いちいちブラックアウトする時間が長い仕様の機種だと、高速移動する被写体が追えなくなってしまう難点はありますね。ただそれも秒5コマのときよりも秒10コマで高速連写する場合のほうが、ブラックアウトしている時間そのものが短くならざるをえないので、問題自体が小さくなるわけです。だから動体撮影するような高速連写機ではあまり問題にならない要素かもしれません。

先に挙げた写真、防波堤の高波やイルカなんてのは動体のなかでも遅いほうです。逆にあまりにも速い動体っていうのはフレームインさせたりシャッターボタンを押すタイミングなど「あてずっぽう」の要素が大きくなってきます。私カワセミの飛翔や飛び込みも撮りますけども、超望遠であんな小さな高速移動体を追っかける、そして翼の開き具合がちょうど美しいところを見極めてシャッターを切るなんて、完全に人間の能力の範囲外だと思いますよ。あてずっぽうです。おまえの能力が低いだけだと言われたらそれまでですが(笑)

「OM-D E-M5 Mark II」で撮影
A bathing kingfisher カワセミ水面から飛び立ち

あてずっぽう領域であればもはや、EVFかOVFか、またミラーレスか一眼レフかなんてことは、どちらでも良くなってしまいますね。おそらくこの件を判断するには、イルカのジャンプでは動きが遅すぎ、またカワセミでは速すぎるのでしょう。人間のやるスポーツくらいのスピード感が分水嶺になるのかなと思いますが、私はスポーツ撮らないのでよく分かりません。

「α6000」で撮影
kingfisher

とにかく個人的にはEVFの表示遅延を大きく感じたり、それが厳しい問題になるという経験はまだないです。繰り返しになってしまいますが、カメラ機種ごとの性能差や使い勝手などが理由で「できない」ならまだしも、EVFだけに責任転嫁するほどではないと思ってます。

情報表示の豊富さ


さまざまな撮影設定などのインフォを画面内に表示でき、必要に応じて表示をオフにもできるEVFは、慣れてしまうととても便利です。

OVFにも必要十分なインフォがありますし、最近では電子水準器なども表示されていますが、表示される項目が十分にあればそれで良いかというと、ちょっと事情が変わってきてるかもしれません。

メーカーや機種にもよるでしょうが、背面ディスプレイと同じUIデザインをそのままEVFに投影してくれていると、設定確認でも操作の面でも戸惑いがなくて済みますよね。そうしてファインダーを覗いたままメニュー操作できてしまうのもEVFの良いところです。

以前ホタルを撮影しに行った際、となりで三脚を立てている年配の方が、一眼レフの背面ディスプレイを煌々と光らせながら設定メニューの操作をしており、周囲から若干迷惑がられておりました。ホタルは強い光源を嫌うとのことですし、他の鑑賞者にとってもそのような眩い光源があることは好ましくありません。EVFであれば背面ディスプレイをオフにしていても、メニューの隅々までファインダーを覗いて操作できますから安心ですよね。

まとめ


今回はEVFという切り口でしたので、それのみに関しては、デメリットは既に払拭されているかのような書き方にも感じたかと思います。ただ、現行の「EVF搭載機」=一般的にはミラーレス機と呼ばれる機種がどういう状況かといえば、まだまだ改善されるべき点は多いでしょうね。

いずれ一眼レフのような機構は消えゆく運命にあるとは思っていますが、現在はまだ様々な面で、ミラーレス機にはない優位性を保っているのも事実です。EVFだけでなく、ミラーレス機そのものが改善・進化を重ねていくことが大切でしょうね。

Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 7D Mark IIボディ EOS7DMK2


SONY ミラーレス一眼 α7R II ボディ ILCE-7RM2